俺様王太子に拾われた崖っぷち令嬢、お飾り側妃になる…はずが溺愛されてます!?


 カイルの説明に、ランスが頷く。

 本日の作戦は、こうだ。
 まず、ランスとその従者を装った部下数人がブレットン侯爵として正面玄関から入り、超大型案件の商談を持ち込む。それに気を取られてモヒート商会の人々がその場に集まってきた隙に、今度は裏口からカイルとベアトリスを含む団員数人が潜入して拘束されている女性たちの安全を確保、最後に全員で包囲して容疑者たちを捕獲するのだ。

「準備はいいな? 何かあれば魔道具で知らせろ」

 カイルによる説明が終わり、団長のジャンが耳に付けている飾りを指さしながら皆を見回す。

「「「はいっ!」」」

 その場にいた団員たちの声が重なった。


 ◇ ◇ ◇


 モヒート商会は、地上二階、地下一階建てのごく一般的なつくりの建物だ。東西に長い長方形をしており、長辺に沿うように長い廊下が一本走っている。廊下には象嵌(ぞうがん)細工と呼ばれる異なる種の木材を組み合わせて模様が施す技法が使われた花台が等間隔に置かれていた。

「よし、こっちだ」