「イツくんッ!」

「リカ、リカっ!お前、生きてたのか?
良かった、良かった...」



私を、リカと間違えてる?

っ...

リカなら、私がリカなら良かったのに。



「リカ」



私が、リカならっ...



「伊月、違う、目を覚ませ!
そいつは莉梨樺じゃ...」

「イツくんッ!大好きだよっ!」

「莉梨逢?」



私はイツくんを、抱き締めた。

リカなら、こうしたと思ったから。



「俺も」



イツくんは穏やかな笑顔を残して、私達の前から、去っていった。

本当に、突然のことだった。

その日から私はまた、心を閉ざし始めた。

ミツくんが心配して、何度も見に来てくれたけど、
「なんでもないよ」
と、返していた。