再び

女将さんの部屋に呼ばれ、
忍。

「あっ」と、

声をあげる。




 お座敷の襖が開くとそこには、

きれいななりの忍が、
立っていた。


客に引き合わされ笑顔をつくるが。

忍、どうしても嫌そうな顔
になってしまう。



 そこへ、

忍が
それまで見たこともない様な
御膳が、

運ばれて、きた。


忍。

一瞬
ぽかんとあっけにとられ。

ごくりと唾を飲み込み
一心に、

掻き込み始めた。




 その夜遅く。

ご不浄の横、ぺたりと座り込む
忍の姿があった。


「一番になるんだよ…

 一番になるんだよ…

 おいらん道中
 するんだよ…」


 何を見ているのか
わからないような目をして
ぶつぶつと、

繰り返していた。




 翌日の夜も明けきらぬうち

そっと。

女郎の骸が、ひとつ。
運び出されていった。