初入選の

賞金を受け取った帰り道。



「足りないナア」



「え?」





 忍は

すこし、ばつが悪そうに、

口を開いた。



「いや実はね、

旅行をしてみたかったの、

世界をネ



ほら、楽しそうじゃない?

色々みて、歩いたり。

世界紀行なんかも

書けたらいいなー

ナンテ。



面白そうだし」



「忍さん?」



「先生とね

何となくだけど。



世界をみろ、

って

約束した気がするの。」





 忍が語るごとに。



僕ちゃんは黙って

何か深く

考えごとをする様子であった。