ふたたび

忍、机に向かい。

かりかりと物書きをしている。





 その絵。

 素敵と思うわ
 わたしは好き

 でも

 わたしは
 あなたの総てを識らない。



 あなたの声。

 とても良いと思うわ。
 わたしは好きよ。

 でも

 わたしはあなたのすべては
 知らない



 でも好きよ?

 偽りなかった
 あなたへ

 わたしも

 ホントの気持ちを
 後出し。ゴメンね





 襖一枚隔てた隣の部屋では

ヴァイオリンを奏でながら
僕ちゃんが、
陽気に、声をかける。


「いつか結婚するー??」


「結婚する何時かー」



 そこに電話のベルが鳴る。


僕ちゃん
ぴたりと演奏を止め。

スタスタと、歩いていく。



 「う゛えぇっ!?」



忍。
ゆっくりと振り返る。