「君は

　　出来ないんじゃなくて
　　やり過ぎたから、今は

　　お休み中なんですよね」


　笑いながら。

自分でシャツの、
ボタン付けをする先生を、
忍は、思い出し。

泣きそうになる。


「これならガマグチも、
　入るでしょっ

　アタシ！こんなん

　大っ嫌いなんだからっ
　二度はナシ！」


忍は割烹着を

僕ちゃんに、放り投げた。



　後日
僕ちゃんは、

忍が仕上げた割烹着を身に付け

豆腐を、
買いにでた。


すると。


豆腐屋が

濡れた手を、
ズボンで拭っていた。


僕ちゃんが、「これ」
と。

ポケットから手拭いを
差し出すと、

豆腐屋は


すぐにそれに気が付いて、

手を拭った。



　そうして
二人は、
無言のまま。

笑いあった。