「それで何の用ですか?」


海崎さんの言葉に、先生は机に置いてあった山積みのプリント運んできた。


「これは……」


その量に驚いた。


「これは明日各クラスの授業で使うプリントなんだけど、これから私が出張でね……だから、2人にホッチキスで1つ5枚ずつにとめてもらいたくて……」

「お願いできるかしら……?」


不安そうに聞いてくる先生。

もちろん答えは決まってる。


「分かりました。手伝わせてください」

「俺もやります」

「ありがとう!じゃあ悪いんだけど、よろしくね。終わったら、机に置いておいてね」


先生は笑顔で教室から出ていった。


「…………」

「…………」


2人だけになりシーンと静まりかえる教室内……。


「……えっと、はじめましょうか……?」


私は今まで、クラスの男の子と話したことがなく、海崎さんは女の子が苦手だから余計に気まずくて、何とか声を発した。


「……あぁ……」


海崎さんが椅子をひいてプリントの前に座ったので、私は机を挟んで真向かいに座った。