グラウンドにもう人はおらず、閑散としている。
颯太の姿も見当たらない。
私の考えすぎかと思ったけれど、念のため体育館の裏まで見て回った時。
体育館脇の低い階段に、膝を抱えて顔を埋めている男の子の姿が目に入った。
その白と青のシューズには見覚えがある。
少しの間、茫然と立ち尽くした。
責任を背負い、重圧を抱え、それを周りに気づかれまいと明るく振舞い、一番悔しい思いをしていたのは、きっと彼だった。
気配を感じたのか、顔を上げてこちらを見た彼が慌てた様子でぎこちなく笑みを作る。
「有沢、どうした?もうみんな帰——」
颯太の明るい声は、途中で途切れた。
「有沢?」
歩いてきた彼が私の目線まで屈んだけれど、その顔はもう滲んで見えない。
「…すみません」
「なんで謝るんだよ」
「私、何もできなかった…」
自分の不甲斐なさをこれほど憎んだことはない。
泣きたいのは颯太のほうだ。私が泣いたら彼を困らせてしまうだけだ。
わかっているのに、涙は止まってくれず何度も拭った。
不意に温かい手がそっと頭にのり、ぽんぽんと撫でた。
「心配してくれたんだな。ありがとう」
こんな時でも、彼は私を気遣ってやさしい言葉をかけてくれる。
そのことにますます泣けてきた。
湧いてくる感情を、もう憧れで片付けることなどできなかった。
遅い初恋を自覚した瞬間だった。
颯太の姿も見当たらない。
私の考えすぎかと思ったけれど、念のため体育館の裏まで見て回った時。
体育館脇の低い階段に、膝を抱えて顔を埋めている男の子の姿が目に入った。
その白と青のシューズには見覚えがある。
少しの間、茫然と立ち尽くした。
責任を背負い、重圧を抱え、それを周りに気づかれまいと明るく振舞い、一番悔しい思いをしていたのは、きっと彼だった。
気配を感じたのか、顔を上げてこちらを見た彼が慌てた様子でぎこちなく笑みを作る。
「有沢、どうした?もうみんな帰——」
颯太の明るい声は、途中で途切れた。
「有沢?」
歩いてきた彼が私の目線まで屈んだけれど、その顔はもう滲んで見えない。
「…すみません」
「なんで謝るんだよ」
「私、何もできなかった…」
自分の不甲斐なさをこれほど憎んだことはない。
泣きたいのは颯太のほうだ。私が泣いたら彼を困らせてしまうだけだ。
わかっているのに、涙は止まってくれず何度も拭った。
不意に温かい手がそっと頭にのり、ぽんぽんと撫でた。
「心配してくれたんだな。ありがとう」
こんな時でも、彼は私を気遣ってやさしい言葉をかけてくれる。
そのことにますます泣けてきた。
湧いてくる感情を、もう憧れで片付けることなどできなかった。
遅い初恋を自覚した瞬間だった。



