会話がふと途切れたとき、隆司がさっきまでよりも低いトーンで静かに切り出した。
「颯太、有沢のことなんだけど」
「…なんだよ、急に」
つい声に動揺が滲んだ。
「宇野が、颯太に有沢のことで話がしたいって言ってる」
「宇野って…サカマネの宇野愛花か?」
「そう」
信号待ちで、隆司が二つ折りの紙を俺に差し出す。
「宇野のアドレス。電話するかどうかは颯太の判断に任せる。宇野にもそう言ってあるよ」
躊躇いつつも、手を伸ばしてそれを受け取る。
去年ロスから帰ってきて隆司と再会した時に『紗知の話はしないでほしい』と言ってあった。
隆司以外の高校時代の仲間と連絡を取らないのも、彼女がどこで何をしているのかを知りたくないからだ。
理由は何かと問われれば、自分でもよくわからない。
ただ知るのが怖い。漠然とそれだけだ。
約束通り、今まで隆司が彼女の話をしたことは一度もない。
そんな隆司が紗知の名前を出し、ましてや宇野が絡んでいるのであれば、きっとよほどのことなのだろう。
昼間『有沢紗知』の名前を見つけたのも、きっと何か意味があってのことなのだ。
自宅まで待ちきれず、ごくりと唾をのんで覚悟を決めた。
「今、電話していいか?」
「ああ」
隆司の力強い返事に後押しされ、紙に書かれたアドレスをタップする。
どんな話が出てくるのか見当もつかず、死刑判決を待つような気持ちで電話の呼び出し音に耳を澄ませた。
「颯太、有沢のことなんだけど」
「…なんだよ、急に」
つい声に動揺が滲んだ。
「宇野が、颯太に有沢のことで話がしたいって言ってる」
「宇野って…サカマネの宇野愛花か?」
「そう」
信号待ちで、隆司が二つ折りの紙を俺に差し出す。
「宇野のアドレス。電話するかどうかは颯太の判断に任せる。宇野にもそう言ってあるよ」
躊躇いつつも、手を伸ばしてそれを受け取る。
去年ロスから帰ってきて隆司と再会した時に『紗知の話はしないでほしい』と言ってあった。
隆司以外の高校時代の仲間と連絡を取らないのも、彼女がどこで何をしているのかを知りたくないからだ。
理由は何かと問われれば、自分でもよくわからない。
ただ知るのが怖い。漠然とそれだけだ。
約束通り、今まで隆司が彼女の話をしたことは一度もない。
そんな隆司が紗知の名前を出し、ましてや宇野が絡んでいるのであれば、きっとよほどのことなのだろう。
昼間『有沢紗知』の名前を見つけたのも、きっと何か意味があってのことなのだ。
自宅まで待ちきれず、ごくりと唾をのんで覚悟を決めた。
「今、電話していいか?」
「ああ」
隆司の力強い返事に後押しされ、紙に書かれたアドレスをタップする。
どんな話が出てくるのか見当もつかず、死刑判決を待つような気持ちで電話の呼び出し音に耳を澄ませた。



