「総務部広報企画課の有沢紗知と申します。お呼びでしたでしょうか」
声をうわずらせながらなんとかしゃべり終えると、彼が立ち上がった。
180センチはあるであろう長身にスリムな体型の彼が、長い足を一歩ずつ私のほうへ進めてくる。
次第にその顔がはっきりと見えてくる。
ふわりと浮いた前髪から覗くストレートの眉。奥二重のアーモンドアイ、細い鼻筋、薄い唇、引き締まった顎のライン——
頭が真っ白になった。
…噓でしょう?
ありえない。こんなところに彼がいるわけない。
否定したいのに、昨夜と同じ胸の痛みに再び襲われる。
私の目の前で立ち止まった彼がほんの少し口角を上げた。
「紗知」
「…そう、…」
無意識に漏れた声は、彼の名を最後まで呼ぶ前に消えた。
——色素の薄い、吸い込まれるようなブラウンの瞳。
あれから10年経っている。その10年の間に写真を見返したことは一度もない。
けれど、目の前にいるのが高校時代の恋人、高瀬颯太であることは間違えようがなかった。
声をうわずらせながらなんとかしゃべり終えると、彼が立ち上がった。
180センチはあるであろう長身にスリムな体型の彼が、長い足を一歩ずつ私のほうへ進めてくる。
次第にその顔がはっきりと見えてくる。
ふわりと浮いた前髪から覗くストレートの眉。奥二重のアーモンドアイ、細い鼻筋、薄い唇、引き締まった顎のライン——
頭が真っ白になった。
…噓でしょう?
ありえない。こんなところに彼がいるわけない。
否定したいのに、昨夜と同じ胸の痛みに再び襲われる。
私の目の前で立ち止まった彼がほんの少し口角を上げた。
「紗知」
「…そう、…」
無意識に漏れた声は、彼の名を最後まで呼ぶ前に消えた。
——色素の薄い、吸い込まれるようなブラウンの瞳。
あれから10年経っている。その10年の間に写真を見返したことは一度もない。
けれど、目の前にいるのが高校時代の恋人、高瀬颯太であることは間違えようがなかった。



