元彼専務の十年愛

油が弾けるような音が耳を焼き、ハッと目を開いた。
見慣れたシーリングが映り、カーテンの隙間から白い光が漏れているのがわかる。
どうやら部屋の窓のすぐそばに蝉がとまったらしく、ジリジリと鳴いている。
暑くて寝苦しかったのかシャツは汗でベタついているし、眠りが浅くて悪い夢を見ていた気がする。
大きなため息が無意識に漏れ、寝返りを打って枕元の時計を見た。
7時27分。アラームが鳴る3分前だ。これじゃ二度寝もできやしない。
もう一度ため息を吐き、枕にぐりぐりと顔をこすりつけたあと、気合を入れて起き上がる。
そのままバスルームへ直行して身体を洗い流した。