本当は最初からわかっていた。
欠けている感情なんて、彼女に会えばいとも簡単に埋められてしまうことを。
長年錆びついていた心は、いくらでも動かされてしまうことを。
それが仕事に支障をきたすと思ったから、彼女の行方を知るのが怖かったのだ。

直接会わなくたって、彼女を助けることはできたはずだった。
隆司を通して援助を申し出れば…
あるいはもっと間接的な方法で、俺を匂わせることなく援助することだって可能だっただろう。
けれど、なんだかんだ理由をつけても、結局俺は。

ずっと彼女に焦がれたままで、会いたくて会いたくて、仕方がなかったんだ。