「俺はあんたが酒場で自分には縁談がないって言っていた時から、なんか話がおかしいと思ってたよ」

「え。そうなんですか?」

 今日も今日とて、夫の友人ルーンさんはシリル不在にも関わらずにロッソ公爵邸でくつろいでいた。

 魔塔でのお仕事は良いんですかと聞いたら、もうすぐ辞めてしまう職場だから何を言われても特に気にしないそうだ。強い。

 いままで私は夫のシリルにしか目を向けてなかったんだけど、この前に「俺と一緒に逃げよう」と言われてから、いけないとは思いつつルーンさんを意識してしまうようになってしまっていた。

 魔法使いルーンさんはその体の中に持っている魔力が尋常ではないせいか人より、成長が遅いらしい。だから、彼は勇者シリルと同じ年齢なんだけど、彼よりもかなり若く見えるのだ。