最低限の礼儀であるノックも忘れて、私は来客室の扉を慌てて大きく開き、そこに見えた光景を見て固まった。

 背の高いシリルは何故か立って居るんだけど、ジャスティナも彼を追うように立って居て……? 状況が良くわからないけど、勢いでここまで来た私はとにかくシリルの元に駆け寄った。

「……フィオナ?」

 固い表情で振り向いたシリルは、私がいきなり自分の腕を掴んだので驚いているようだった。ジャスティナは、彼にすがるように手を出していた。

 それを見て、一気に頭に血がのぼってしまった。

「っ……ジャスティナ。シリルは、私の夫なの。聖女さまのことが上手く片付いたら離れると思うけど……それまで、私がシリルと一緒に居たいの。彼のことを、取らないで!」

 そして、二人とも私がこうなるだろうと思っていたのと、まったく違った表情を浮かべた。

 シリルは嬉しそうにデレッとして照れた顔になったし、ジャスティナは……困ってる……? なんで?