私は空が飛べるルーンさんに、玄関前に降ろして貰った。彼にお礼を言ってから、玄関ホールに入ると私を探して居たらしい執事とすれ違った。

 奥様と呼ばれたけど、一言謝ってからとりあえず来客室へと急いだ。彼の要件は明白だったから。

 もし私が居ないのなら、ロッソ公爵家では客人を迎え入れるのはシリルになる。だから、今来ているはずのジャスティナの相手だって、彼がしているだろう。

 元よりジャスティナが用があるのは私ではなくて……シリルなのだから。