だって、社交界でも人気のあるエミリオ様は私と接していても、礼儀正しく紳士ではあったけど……ジャスティナに気に入られたいと振る舞う男性のようでは、全然なくて……何の気もなさそうだったのに?

「エミリオ様は、フィオナの前だと緊張して話せないからって……けれど、次の夜会こそはダンスに誘おうと思っていたところに、貴女が勇者と結婚したと聞いたのよ」

「ごめんなさい……待って。整理させて欲しいんだけど、ジャスティナはエミリオ様に、私への橋渡しを頼まれていたってこと……?」

「そうなの。私たちが仲が良いのは、周知の事実だから。貴女は前に、エミリオ様を気になっているって言っていたでしょう? だから、私は二人とも両思いだと思っていて……だから、もし勇者シリル様との偽装結婚という噂が本当なら、彼はフィオナを諦められないと言っているのよ。フィオナ……本当のところは、どうなの?」

「っ……それは……」

 ジャスティナの目はまっすぐで、真剣だった。私は何も言えなくて……これからどうすれば良いかと、頭の中は複雑な感情でぐるぐると回っていた。