「今日、城で呼び止められてね。君と結婚したことを、本人に確認したいと。だから、その通りで結婚したって言っておいたよ。彼はフィオナのこと、好きだったんじゃない?」

 シリルのエミリオ様と私の関係を探るような質問に、思わず笑ってしまった。そんな訳あるはずないのに。

「ふふっ! まさか。きっと、ジャスティナの友人が気になった程度ですわ。彼は……その、ジャスティナの信奉者の一人のようでしたので」

「……そう? まあ、良いや。今日は、何があったの?」

 シリルは私が離れていた間に、何をしていたのか気になるようだ。もしかしたら、興味もないことを尋ねてくれていると思うと胸が痛む。

「執事のアーサーと西棟の家具の配置決めをしたのと、ルーンさんが訪ねて来てくださったので、そのお相手を」

 シリルが購入したこの邸は、数え切れないほどの部屋があった。主要な部屋から執事が新しく購入した家具の配置を決めているのだけど、数が多すぎてなかなか追い付かない。

「そうか……明日は仕事が休みだから、何処かに出掛ける? 外出が苦手なら、家に居ても良いよ。君は、何が好きなのかな」