ふと頭の中に、聖剣のエンゾの声が響いた。いつもエンゾは倒すべきモンスターの情報なんかを教えてはくれるけど、そこまで協力的でもない。

 エンゾにだってわからない情報はあるし、知っている情報を一方的に話したらそれで終わりだ。俺の呼びかけに答えたことだって……。

「……あの……もしかして。困ってます? 私……」

 恥ずかしそうに、俺を見上げる潤んだ目。もしかして、さっきまで泣いていた? 状況的に考えれば、失恋か? だから、こんな良くわからない俺の募集に答えてくれた?

 馬鹿だ。こんな可愛い子振るなんて、相手の男は何もわかっていない。そうだよ。もし、俺なら二つ返事で。

「めっちゃくちゃ!! 困っています!! どうか、俺を人助けだと思って助けてください!!」