「あるよ。いっぱいあるよ。勇者だし憧れの存在であらねばならないから国民の前では良い顔してるけど……妻のフィオナの前では、本来の俺で居たい」

「……そういえば、ルーンさんがシリルって寝相悪いって言ってた」

 確か彼の友人のルーンさんが、前にそんなことを言っていたと思い出した。

 けど、そう言う部分も可愛いと思ってしまうので、すでにシリルを大好きになってしまった私は何でも許せると思えてしまった。

「え。待って! それは、もう俺の努力でどうしようもなくない? ……っていうか、あいつにどこまで聞いたの? やめて! 俺の話は、俺から聞いて!」