もし、あなたに美しくて優しくて、完璧とも言える最高の親友が居たとする。そんな子が傍に居るならば、きっと誰だって親友を大好きになってしまうだろう。私もそう。

 けど、親友が同じ年頃の同性であるならば、ことある毎に比較され、彼女の方が上だと思い知らされる度に、こう思ってしまうはず。

 自分は誰の目から見てもあの子より劣(おと)っていて、本当に駄目な存在なんだって。

 彼女への褒め言葉を聞くたびに、微笑みながら思ってしまうのだ。では、その隣に居る私には、褒めるところが何もないのかしら? と。

 私の幼馴染みで親友ジャスティナ・エリュトルンは、多くの貴族が集う社交界にあっても美しく華やかな容姿と、聡明で機知(きち)に富んだ会話が出来るなど多くの美点を持つ、とても素敵な女性だ。性格も明るくて優しくて、私だって大好きだ。

 私たち二人は幼馴染みで親同士も仲が良いから、近くにあるお互いの邸を行き来してどんどん交流を深めていった。