夢見る夢子は、元アイドルに運命を感じてしまいました!

「この子が山科圭太。
昨年、入団したばかりの
ニューフェイスです。」

圭太君は私のGジャンを着て、キャスケットをかぶっていた。



記者は、写真と圭太君を見比べていた。
私たちは、仕事をしてる振りをしながら、耳をそばだて話を聞いていた。



「……すみませんでした。」

記者は頭を下げた。



「わかっていただけたら良いんです。
今度は、ぜひ、公演のことを載せて下さい。
もちろん、圭太のインタビューでも構いませんよ。
彼はうちの劇団の期待の新星ですから。」

「はぁ。機会があればまたよろしくお願いします。
では、失礼します。」

野沢さんの芝居に、記者はそう言って、部屋を後にした。



「良かった…何とか誤魔化せたな。」

皆、ほっと胸を撫で下ろした。



今回は、恭子さんの機転でなんとかうまくいったけど、この先もまたうまくいくとは限らない。
少なくとも、CM契約のある間は、たっくんとは会わないようにしないといけない。



毎日のように会っていたたっくんと会えないのは、とても寂しかった。
厳密には会えないわけではない。
劇団に行けば、たいてい会える。
だけど、一緒に帰ったりは出来ない。
私はまた自分の家に戻った。
たっくんがいない家は、とても寂しくて、気が滅入った。