夢見る夢子は、元アイドルに運命を感じてしまいました!

「今まで本当にどうもありがとう。
住むのはこの近くにするつもりだし、いつでも会えるから。」

「そ、そうだよね。」

私は懸命に笑った。
いやだ、たっくん、このままここにいて!
そう言いたい気持ちをぐっと堪える。



「来週には、引っ越すつもりだ。」

「え?そんなに早くみつかるかな?」

「うん、実はもうだいたい決めてるんだ。」

「そっか、じゃあ、心配ないね。」

酷いよ、たっくん。
私には一言の相談もないまま、もう家までみつけてるなんて。
私はこんなに辛いのに、たっくんはなんともないんだね。



その晩、私は部屋で泣き明かした。
やっぱり、私、婚約者なんかじゃなかったんだ。
ただの都合の良い同居人。



なんとなくは分かってたよ。
だって、相手はたっくんだもん。
美男子隊の頃ではないにしても、今もかなり人気がある。
私には手の届かない人だよ。



ここ何年か、良い夢を見せてもらったと思うしかないよね。


(さようなら、たっくん…)



たっくんの言った通り、次の週にたっくんは、出て行った。
荷物もたいしてないから、自分で運ぶって。
私が仕事を休んで手伝うって言ったけど、ひとりで大丈夫だって。
私に新しい家を知られたくないのかな。
そんなことを思ったら、涙が出て来た。