夢見る夢子は、元アイドルに運命を感じてしまいました!

「げ、月謝は高いんですか?」

話を逸らそうと、私はそんなことを言ってみた。



「さぁ、どうかな。
とりあえず、俺のバイト代のほとんどはそれで消えてるけど、でも、それだけのことを教えてもらってると思ってるから、高いとは思わないな。」

そうなんだ。
ってことは、実際、ずいぶんと高いんだろうね。



「本当は、こんなことはやめて君に借金を払わないといけないんだけど…」

「あ、いえ、そういう意味で言ったんじゃありませんから!」

私は慌てて否定した。



「……あと少しだから。
30になったら、ボイトレもダンスもやめて…」

「そ、そんなこと言わないで下さい!
30になっても40になっても頑張って下さい!」

「そこまでは俺のメンタルが持たないよ。
オーディション会場ではいつもけっこう手応えがあるんだ。
審査員には割と良いことを言われるから。
でも、結果はいつもだめなんだ。
今度こそは!今度こそは!って、自分を励まして、どうにか続けて来たけれど、さすがにもう無理だな。
30になったら…結婚しよう。
贅沢はさせられないかもしれないけど、俺なりに頑張るから。」



(たっくん……)



今のは一応プロポーズだよね。
微妙な関係だったけど、たっくん、考えてくれてたんだね。
なんでだろう?
すごく嬉しいはずなのに…なぜだか少しも胸が熱くならない。



(どうして…?)