「侯爵様は私のことをまだ子供だと思っていて、そんな事は、」

「婚約はお前が五歳の時だ。それは子供だっただろう。だからと言って婚約をしていながら婚約者以外の女性を侍らすと言う行為を黙っていろというのか? お前は現在十六歳だ。美しく育ったお前を見て侯爵殿が惜しくなったのだ。恋人よりも若くて瑞々しいお前を手に入れたくなったんだ。いい加減それに気づけ。侯爵殿はお前をガキだと思っていたが今は逆だ! 侯爵殿が()()()()なんだ。若い娘はわざわざそんな面倒な男を相手にしないさ」

 ジョゼフが私を? 気持ち悪い。ゾワっとして自分の体を抱いた。


「……言葉はどうあれ、アルベーヌの言う通りだ。離縁の準備を進める。ルーナはこのまま家にいなさい、侯爵家に戻る必要はない」

 
「でも仕事道具が、」
「そんなものはスージーをはじめとするルーナの周りのものに取りに行かせるが良い。あの家に足を踏み入れることはもうない」


 父の言葉に頷くしかなかった。結局自分の力では解決できなかったわ。


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「おい、アルベーヌどこへいく? おまえに話がある」

 連れて行かれた先は父の執務室。

「侯爵家の噂だが……」

 バレたか。別にバレてもいい。降参のポーズをとり父の顔を見た。

「俺が流しました。ルーナが一年我慢すると言っていましたが、あの男相当ルーナを自分のものにしたがっていたので早く手を打とうと思いました」