伯爵家から来た執事に声をかけられた。私が家にいた時から執事をしてくれている。ジョゼフに伯爵家からの使用人を呼んでいいかと聞くと、許可されたから離れに住む事になった理由をスージー以外の伯爵家から来た使用人に説明した。

 始めは憤っていたけれど、一年後離縁する旨を伝えると納得? したようだった。だから伯爵家から来た使用人は皆私をお嬢様と呼ぶ。決して奥様などとは呼ばない。


 それと何故か伯爵家から来た警備が増えていた。離れの扉の前で待機している。私呼んでないケド? え? お兄様の指示? あ、そう。今度会った時聞いてみよ。


 伯爵家から来たみんなに侯爵家の人達と争わないでね? と言うと私の不利になるようなことはしない。と言ってくれた。

 対して侯爵家の使用人達には私のことを名前で呼ぶ様に頼んだのに、今日はしつこく奥様呼びだった。

 恐らくジョゼフがそう呼ぶように言ったのだろう。もしかして使用人達も何か感じているところがあるのかもしれない。でも侯爵家の人達に離縁をするつもり。とは言わない。誰を信用していいかも分からないから。

 
「こちらが本日届いた手紙です」

 机の上に置かれた手紙。いつものスイーツの注文もあれば、夜会のお誘い、お茶会のお誘い。


「そうねぇ……夜会は全てお断りするわ。お茶会は出なきゃね……この家とこの家は出席しなきゃ失礼よね」
 
 侯爵家と伯爵家、いつも懇意にしてくれるものね。それに王太子妃様のお茶会はなぜかお兄様と来てね。と書いてある。王太子殿下がお兄様に会いたいんでしょうね。いつも家にいないものだからどこかでお兄様が家にいると噂を聞いたのかしら?

「はい。そのように準備を進めておきます!」

「お願いね! 疲れたから返事は明日書くわね。早く湯船に浸かってのんびりしたいわ。あ、そうだ」

 手袋を脱ぎスージーに渡す。