「夫婦間の問題です。私が口を出す権利はありませんが、新婚早々これでは先が見えていますね。ルーナ様は体調が悪いようですから私もそろそろ失礼いたします」


「ちょっと待ってくれ。君と妻との関係は? ただの仕事仲間ではないのか!」


「変な事を聞いてくるのですね。やましい部分は一切ありませんよ。先ほど言いましたがルーナ様とは幼馴染の関係で、妹のように思っています。ルーナ様の兄アルベーヌ殿とも懇意にしています。気になるようなら調べてくださっても構いませんよ?」


 フェルナンドと言う男は頭を下げて帰って行った。あんな契約がある限りルーナを手に入れる事ができないのか……あの男の言う通り婚約期間中にルーナを顧みなかった事を悔やんだ。

 謝罪の手紙を書いて晩餐の時間に迎えにくる。と伝えてほしいとメイドに託した。



 重い足取りで屋敷に戻るとアグネスに呼ばれた。

「ジェフ! どこにいたの? 今度のお茶会に着て行こうと思うんだけどどれが良い?」

 正直なんだって良い。それにしても毎日毎日懲りずに買い物をしている……いくら使うんだ……ゴテゴテの厚化粧に香水の匂い、ヒステリックな話し方。

 執事にアグネスに予算はこれ以上回さないと言われた。執事がルーナに言ったところ『わたくしの予算を回して下さいな』と言われたらしい。

 ルーナとうまくいかない物だからイライラしてくる。いや、自分に苛つくのだ。子供だと思って油断していた。だからあんな自分勝手な事を言ってルーナを傷つけて頑なに拒否されているのだ。


 手遅れになる前に……
 覚悟しなきゃな……