ジョゼフ


「え、ちょっとルーナ!」

 ジョゼフは良かれと思って提案しただけで悪気は全くなかった。

 呆然とするジョゼフにフェルナンドが声を掛けた。


「ルーナ様は現在ショップを立ち上げ、近々オープンいたします。その店でルーナ様自ら店頭に立ち接客しようとされています。夫婦の問題に口を出すつもりはございませんが、侯爵様はルーナ様の事を知らなすぎると存じます。……婚約期間中にルーナ様の事を思い何かをしてあげた事がありましたか? 私は幼馴染ですがルーナ様に婚約者がいる事を数年前に知りました。夫婦だから歩み寄るのは当たり前……でももっと早くそうするべきでしたね」

 冷たく言い放つフェルナンドに、肩を落とす。


「……分かっている。私が悪い」

 
「その時点でおそらく理解していないものと思います。ルーナ様は賢い方ですから分かっているのでしょう。結婚式の誓いのキス……あの時にはすでに拒否されていたのですよ。あなたのルーナ様を見る顔が一瞬で変わりましたね。それにルーナ様が誓いの言葉を言う前に舌打ちをしていましたよね……ルーナ様の美貌が惜しくなった……違いますか?」


 この野郎……言われたくない事をズケズケと! 悪かったって言っているだろうが!


「夫婦になった今、歩み寄りたいと思っている!」

「こんな離れに妻を追いやったのに……ですか?」

「それは……」

 やはり本邸に戻すべきだ。世間にこんなことがバレたら……一緒に生活をしていく中で仲が深められたらと思う。