「私には愛する人がいるのでルーナに愛を求めるなと、言ってしまいました……後悔しています。久しぶりに見たルーナはとても魅力的に成長して、結婚式の日からルーナに触れたくて仕方がないのです」


 体が目当てと言っているのだろうか……兄の前で。普通は夫婦の問題なのだが、この男は同じ男として気持ちが悪い。


「はぁ……そうですか。妹にはそれを伝えたのですか?」

「言ってない。今更こんな事を言えると思うか? 取り敢えず話し合って契約内容を見直したい。このままでは一年後離縁されるのが目に見えている……ルーナを他の男に取られたくない」

 散々子供だとバカにして会いにもこなかったくせによく言うな……そりゃルーナも頑なになるはずだ。結婚式に憧れていただろうに。同情するわー。


「その彼女? とはもちろん別れての話なんですよね?」

「……彼女が婚期を逃したのは私のせいだから何とかしなくてはと思っているのだが……」

 別れてねぇのかよ!

「……生活を補償するとかで慰謝料でも渡したらどうですか? 前侯爵殿もご存じないのですか? そう言った話は出て来そうなものだが」

 あの侯爵はそう言った事には煩そうだぞ? ちゃんと息子とルーナの身辺を調べているだろうに。

「父親には別れたくないと言い、彼女との事に口を出すなと言ってそれ以来その話はしていません」

 何だかなぁ……ルーナが可哀想になって来た。情けない男だ。


「結婚してからその彼女の元へ通っていたら、侯爵殿の評判にも関わりますし、ルーナが何を噂されるか……早めに手を打った方が宜しいかと」