アルベーヌお兄様

「侯爵殿、挨拶は終わったと思うのですが一体何の用事でしょうか?」

「アルベーヌ殿にこんな事を言うのはおかしいのだがルーナの口から言わせたくないので、無礼を承知で話をさせてもらいたい」

 そう言ってジョゼフは頭を下げた。


「何でしょうか? ルーナが何か失礼を? 初夜を迎えていないと言う様子は窺えましたが……結婚すると幸せオーラというか人妻の魅力が出るようなものですが、妹からは一切感じられません」

「……私はルーナに酷い事をしてしまいました」


 二十四歳の若き侯爵が二十歳の伯爵家の子息に頭を下げて懺悔するように話し出した。

「ルーナと婚約を結んだのが私が十三歳でルーナは五歳でした。その歳の差から私は友人達からロリコン扱いされて、ルーナに会いに行きませんでした。会ってもなぜ私がこんな子供と……と思いながら過ごしていました。友人達は歳に合った婚約者達と仲良くしていて、私は肩身の狭い思いをしていました。その頃私には、その、情を交わした女がいまして。女は現在二十五歳。私のせいで適齢期を逃してしまいました。結婚して一年子供ができないと第二夫人として迎える事ができる……なのでルーナとは一年間白い結婚という事で契約を結びました」

 胸糞悪い話だが、子供の頃の八歳差と言うのは大きな障害になっているのかも知れない。


「そうですか。初夜を迎えていないという理由はわかりました」

 一年間白い結婚と言う事はルーナは離縁するつもりか?