……なんで? 表向きは愛人がいて愛されない妻だったからだけど……


「……手紙に……愛を求めてはいけないと、愛さないと、書かれていました。私は政略結婚でも夫となる人を愛したいと思っていましたし少しでもいいから愛されたい……そうじゃなきゃ辛いだけだから」


 あの時以来の寂しさ、悲しさ、悔しさが込み上げてくるように涙が溢れた。


「それは普通のことでしょう。夫婦になるのですからお互いの気持ちは大事です」

「……恋人がいても良いから穏やかな結婚生活を過ごせたら……そう思っていました。夫となる人を愛そうと思っていましたが無理でした。顔を合わすのも嫌なほど……怖かったのです。それを誰にも言えませんでした。弱い自分を見られたくなかったのです。だからこれは私にとっての罰です。離縁したことにより家族にも迷惑をかけてしまったし、元夫は当主ではなくなり、世間からは白い目で見られています。私に関わる人は皆、」

「ふむ。それならこれから立証していきましょう。貴女は悪くない。自意識過剰だったと……私はきっとこれから先、貴女に感じたような思いを他の誰かに抱く事はありません。そして貴女を全力で幸せにすると誓います。私には貴女が必要なんです」


「すぐに返事は……」



「勿論です、待ちますよ。今、返事ができないと言う事は多少は期待をしていいと言う事だと思っています」


「……は、い」


「邸に戻りましょうか」

 断るつもりだった。これから一人で生きていくために経営学を学びたいと思っていたのに。心が揺らいだ。


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~エミリオ~

 ノックをされ返事をする前に扉が開いた。リュウだろう。


「何か用事か?……」

 酒の勢いで告白したことによる反省……ソファに横になり腕で顔を隠す。


「酒に飲まれて告白なんて格好悪いですから、反省会自体は反対しませんよ」