「貴女も少なからず私のことを悪く思っていないと思っています。貴女の事を教えてください。貴女を何故そうさせるのか……貴女の口から聞きたい、こんな気持ちは初めてなんです」

 どうしよう……


「……私はエミリオ様に相応しくありません。公爵家の跡取りで」

「家柄ではなくて……ただの一人の男として見てほしい」


「……私はご存知かと思いますが結婚をしていた時期があります。たった数ヶ月でしたし、書類上も結婚していたと言う事は無くなってはいますが、」

「……それが何か? 私は貴女のことを苦しめた相手が憎いです。でもそれが糧になり事業を成功させたいと言う気持ちにさせたのではないですか? 私は今の貴方が好きです。それも含めて全てです。まだ知らないことも沢山あるでしょうが知りたいですし、私のことも知ってほしい……」


「……公爵家の皆さんが許さないかもしれません」

「はっ。何を今更……父も母も貴女を気に入っているではありませんか……貴女に聞きたかったことがあります」

 もう酔いは覚めているようで目がしっかりと合った。


「何故離縁を? 相手がゲスだったのは……すみません聞いていましたが、本当にそれだけですか?」

 ……なんで? 表向きは愛人がいて可哀想な妻だったからだけど……