だって王都の中心部なのに、フォンターナ邸の敷地内では、野菜栽培をはじめ牛やニワトリの飼育をしていて新鮮な牛乳やチーズや生クリーム、卵まで手に入るのだそう。
 それだけでプリンが作れてしまいますね。と言うと是非作って欲しいと言われて招待され、いつものお礼がてら作ったところ、フォンターナ公爵や夫人も気に入ってくれて、とても恐縮した……それが二週間前の話。


「ベルモンド伯爵やアルベーヌ殿にもルーナ嬢を安心して学園に通えるようにフォローすると約束をしていますからどうぞ頼ってください。ドレスも用意しますか?」


 ……それを言われるとお願いした方が良いのかも。でもドレスはデュポン夫人と買いに行ったものが数着あるから断ろう。


「ご迷惑でなければお願いします。ドレスは新品がありますので、お気持ちだけいただきます。お礼にまた何か作って持ってきますね」

「ありがとう。ルーナ嬢の作るプリンは好物なんだ。材料はうちにたくさんあるから、また来てくれたら母も喜ぶよ」

 夫人にプリンのお礼にと頂いたお花はどれも美しくてドライフラワーにする予定でスージーが張り切っていた。色褪せる前にドライフラワーにしなきゃ綺麗な色が保てないものね。


「助かりました。誘われた方の中に第三王子殿下がいて断りにくくて困っていたんです」

 身分が高いから断れないと思っていた。他の人も王子がいるからとあきらめるだろし、そうなると必然的に王子のパートナー……それは避けたかった。パートナーがいます。と言えば断りやすいものね。

「これでクラスメイトの子息たちは争う事がなくなりましたね。当日は迎えに行きます」