公爵家と言う高い爵位を持っていても同じ考えがあると思ったらついそんなことを口にした。物腰の柔らかいエミリオだからこそだろう。

「そのようですね……少しは信用していただけましたか? ベルモンド伯爵には私から手紙を書いておきます。ルーナ嬢には安心して学生生活を楽しんでもらい、変な虫は寄せ付けません。ルーナ嬢が嫌がる事は致しません。お約束致します」

 公爵家がルーナを嫁に! と言えばそれだけでうちは断れないのを知っていてそう言ってくれると言う事は、自分に自信があるのか、単に誠実なのかよく分からない。でも悪いことにはならないと思った。

「それでは約束してください。嫌がる妹に婚約を迫ったり交際を迫ったりしないでください。私は妹には笑っていて欲しいのです。次こそは幸せになって欲しいと思います。妹が貴方と同じ気持ちであるのならもちろん反対はしません。その時はよろしくお願いします」

 頭を下げると、すぐにやめてくれ! と言われた。


「宜しかったら私のことはエミリオと呼んでください」

 そう言う呼び方をすると、そう言ったことには鈍いルーナでも何かを感じてしまうかもしれない。外堀を埋められた! となると自分の思いを伝えられなくなるかも知れない。

「それは、またにしておきます。家族になる事になったら改めて」

「ははっ。これは手強いですね。分かりました。アルベーヌ殿、ルーナ嬢を送ってきた際は是非我が家にご招待したい」

 公爵家か……気になる。パドルの家に行こうと思っていたが言葉に甘えようと思った。

「私の滞在は三日間です。一日目はホテルでその後はデュポン伯爵邸に世話になる予定ですのでお言葉に甘えて次の日にご厄介になります。よろしいですか?」

「もちろん。美味い酒を用意しておきます」


 三日目の滞在先も決まった。ルーナには内緒だ。