「……ルーナ嬢の事はとても可愛らしい人だと思います。それにルーナ嬢の出してくれる菓子はとても美味しくて癒されますし、笑顔も可愛らしい。それなのにちゃんと経営者としての顔を持っていて、尊敬する部分も多々あります。見習わなくてはいけないなと思わせる部分が刺激になっています」

 ……ほぅ。それは、それは……ルーナが聞くと喜ぶだろうな。

「卿のような方は令嬢にさぞモテることと思います。なぜ今まで婚約者がいなかったのでしょうか? 踏み込んだことを聞いて申し訳ありません」

「あぁ、それは単に忙しかったのと、私のことを私として見てくれる人がいなかったのです……公爵家嫡男、金のある男。贅沢したい令嬢くらいしか寄ってきませんでした……モテるとはまた違いますね。両親も無理やり政略結婚させるつもりはないと言ってくれて言葉に甘えていたらこの歳です」

 私と歳が変わらないはずなのに……この歳と言われたら笑ってしまった。

「ふっ、はははっ。卿と私は年齢が近いのにもうこの歳と言われたら私も肩身が狭くなります」

「そうですね。アルベーヌ殿こそモテるでしょうに……なぜ婚約者がおられないのですか?」


「同じです。肩書きに釣られるような令嬢はゴメンです……パーティーで令嬢に囲まれるのにもウンザリして最近は遠のいていました」


「それは近くに夫人やルーナ嬢と言う自立した女性を見ていたからでしょうね」

 と言うと笑い出したエミリオ。たしかにその通りだった。守ってやるだけならそんなの子供と同じだ。

「似てますね、私たちは」