なんだかんだと到着したけれど、到着は夕方を過ぎていて今日はホテルに泊まる予定なんですって。

 明日は少し観光して昼過ぎに学園の寮に荷物を置いて、寮母さんに挨拶をしてその日はパドルさんの家でお世話になる。

「部屋で少し休んでから食事だ。ホテルのレストランにいくぞ」

「はーい」

 お兄様は大分旅慣れをしているみたい。すべてお兄様が手配してくれていた。

 食事をして湯浴みをしてベッドに入る頃には既にうとうとしていた。慣れない旅で疲れたみたい……


 ぐっすり寝たせいか、次の日元気を取り戻した。枕があっていたのかしら?

 お兄様に連れられて王都の街グレムを散策した。

 グレムではこういう柄が流行っているのね。色合いも可愛い。ドレスの店や宝飾品店も並んでいて見応えがある。たった数時間では回りきれないわ。

 それから寮に向かい、まずは寮母さんに挨拶をした。お兄様は手土産のお菓子を渡していた。もちろん私の店のものだった。妹をよろしくお願いします。と対外的な爽やかな笑顔で寮母さんと話をしていた。

 私も兄に倣って挨拶をした。寮にはルールがあるらしくそれさえ守っていれば快適な寮生活なんですって。スージーは寮母さんに書類を渡され、読んでおくようにと言われていた。

 普段男性は女子寮には入れないのだが、寮母さんと一緒にという事なら認められている。身内だから許されるのだそう(例外は婚約者)

 貴族の子女らしい部屋で白を基調としていて明るい感じだった。一つの部屋が大きくて後は洗面所とお手洗い、お風呂なども付いていた。後はお湯を沸かせられるほどの洗い場と、使用人部屋は扉があり隣り合わせになっていた。

 貴族の子女はまず一人で準備なんて出来ないものね。助かるわ。

「十分な広さだ。荷物も少ないんだし足りないものは買っておけよ」

 お兄様が部屋の感想を言って納得した様子だった。

「そうですね。年間スケジュールを見ると学園で舞踏会もあるようですし、ドレスが足りません」

 なんでも同じ学年に第三王子殿下もいるようで、お茶会なんかも開かれるのだそう。学園は社交界の縮図ってエミリオが言っていたのはこういう事なのかもしれない。