と言って友人達と別れた様だ。一曲だけって念を押す必要があるか?


 それからルーナとダンスを踊った。天女の羽衣でも纏っているのではないかと思われるような軽いルーナとのダンスはとても楽しかった。もう一曲……と思っていたら手が離された。

 周りから拍手されたので二人で揃って礼をする。


「少し疲れた様ですわ、休憩して参りますわね」

 周りに人がいるからか笑顔でそう答えた。その笑顔は貼り付けた様な笑顔で友人達と話していた時の可愛らしい笑顔とはまるで違った。

 名残惜しくルーナを見ていると友人たちが冷やかしに来た。


「ジョゼフ、今夜はこれからお楽しみだろ? あまり飲みすぎるなよ?」

 ……お楽しみ? あぁ初夜か。そうだな飲み過ぎは……って私はルーナを抱く事ができない!! 契約について話し合いが必要だ!


 休憩中のルーナを迎えに行き、今日の披露パーティーに来てくれた人たちに挨拶をする。

 皆が口を揃えてルーナを美しいと絶賛した。ルーナは別名ベルモンド家の至宝とまで言われていたようだ。

 知らなかった……

 なんとこの場には王太子夫妻も来ていて、ルーナと挨拶に行った。


「ルーナ様ご結婚おめでとう。いつもお世話になっているから祝辞が言いたくて来ちゃったの」

 王太子妃が来ちゃった! と言う関係なのか?

「まぁ。畏れ多い事でございます。この度はこの様な場所に来ていただき誠に光栄ですわ。ありがとうございます」

 そして王太子夫妻に優雅にカーテシーをするルーナに見惚れてしまった。


「おや? バルビエ卿はルーナに見惚れているのか? ルーナは美しく賢い、仕方がない事だな」

 ははは……と笑う王太子にルーナは


「まぁ! それはあり得ませんわよ。侯爵様から見たらわたくしは子供ですもの」