「へぇー驚いた。これは美味いよ! 今まで食べたフルーツタルトの中で一番美味い! フルーツが甘いのにさっぱりしていてカスタードは濃厚で一緒に食べると味わい深い」


 カスタードは濃厚、あのプリンが食べたくなった。このタルトの中でルーナの世界が完成されているんだろう。


「先日お出ししたプリンと同じ材料を使っているんですよ。濃厚でかつクリーミーに仕上げてあります」

 説明をする時のルーナの顔はとても良い顔つきだ。


「だからあのプリンを思い出したのか。個室の雰囲気も落ち着いていて良いね」

 ブラウンを基調にした店の雰囲気に合っている。シンプルだけど上品と言った感じはルーナのようだ。

「個室のご予約をいただいた場合は、何に使うか聞いてお花をアレンジしているんです。商談の場合は邪魔にならないように……デートの際には少し色味を増やしたりくらいですけど、ゆっくり過ごしてほしいと思っております」


 女性ならではの気遣いがたくさん詰まっている。だから心地が良い空間が作れるのだろう。

「ルーナ嬢がこだわっている部分が知れて嬉しいよ。今日は私が誘ったのに結局得したのは私だね」


 ルーナは魅力的な女性だ。こんな大男には釣り合わない……ルーナを知りたいと思ったのに知るたびに遠い存在になるような気がした。