GWも終わった5月下旬。


春の陽気な風が頬を撫でる。


キーン コーン カーン コーン──……


「じゃー今日の授業はここまで」


その言葉で今日の日直が立ち上がる。

「きりーつ」

それに続いてあたし達もイスを引く。


「気を付け……、礼」

「「「ありがとうございましたー」」」



ふぅ。

やっと授業が終わった。

今日は新刊の発売日だから本屋に寄って帰ろうかなぁ。


「あ。そー言えば河村と山田。放課後職員室な」

「え」

「はぁーーー!?」


思わず溢れてしまったあたしの声と、明らかに嫌そうな声を出した山田くん。

そんな声にすら微動だにしない先生は淡々と教室から出て行った。



このクラスの数学教師

──鮫島迅。


あたしはこの先生が気になって仕方がない。