人通りの多い街並みの一角で、鈴様は子供のような好奇心旺盛な目で辺りを見回していた。
背が高い上に、鍛え上げられているその体格は惚れ惚れするほどにスタイルが良くて。
国家騎士団の制服が似合っている。
白雪姫なんて、制服に袖を通せば、「制服に喰われてるね」と笑っていたというのに…。
今まで、1mmも意識していなかったのに。
疑似恋愛…という言葉のせいで、妙に意識をしてしまう。
「夕食まで、鈴様とデートをしてもらいたいと思います」
悪気のない…屈託のない笑顔でシナモンが言った。
私は口をあんぐりさせていると。
いつのまにかシナモンは、ホムラさんと2人並んで頭を下げる。
「夕方までには宿に戻ってきてください」
にこりとも笑わずにホムラさんは言うと。
シナモンとホムラさんは人混みへと消えていった。
私は思わず、鈴様を見る。
鈴様は、姿勢よく立っていたが私をジロリと睨んだ。
「デートというのは、何をすればいいのだ?」
「…そこから、説明しないといけないんですか!?」
一体、どこから説明すればいいのか。
「デートというのは、カップルが遊ぶことです」
「遊ぶとは?」
「うーん。色々ありますが、今日は街を歩いてお茶でもしますかね」
さっきから通り過ぎる人達がチラチラと鈴様を見ている。
良い男だもんな、こいつ…。
「デートというのは、夫婦もするものなのか」
「…うーん、するんじゃないですか?」
だんだん、説明するのも面倒臭くなってきたので。
とりあえず、歩き出す。
この町は観光客向けの市場や店が連なっていて。
人が途切れることなく歩いている。
場所によっては、私たち騎士団は目立つことがあるけど。
これだけ人が多いと目立つことはなさそうだ。
近くの通りを歩こうとすると。
目の前にアクセサリー類が飾ってある店を見つけて。
「うわあ、いいなあ」と言ってしまった。
髪飾りやネックレス、指輪。
キラキラしたものが店頭に並んでいる。
「綺麗ですね」
と振り返ると。
さっきまでいたはずの、鈴様の姿はなかった。
完全に独り言状態になってしまったので、恥ずかしい…と思ったけど。
「どこ、行った?」
人が多いので、すぐに見つけることができなかった。
「鈴様ー。どこですか?」
大声で鈴様を探すが、人混みで自分の声は消されてしまう。
何度も同じところを行ったりきたりして探して。
細い通りも探したけれど。
見つけることが出来なかった。
「あー、あのボンボンどこ行きやがった」
広場にあるベンチに座り込むと。
どっと疲れが押し寄せる。
目を離した私が悪いのかもしれないけど。
勝手にどこかいなくなるってことある?
はぁ…とため息をついた。
まあ、中身は赤ちゃんだけれど。
21歳の大人なのだから、ホテルには自力で帰れるだろう。
広場には、小さな子供たちがキャッキャいいながら遊んでいて。
子供たちの後ろではお母さんやお父さんたちが温かく見守っている。
噴水を眺め、周りを見渡しているうちに。
強烈に馬鹿らしくなってきた。
うーんと背伸びする。
いくら顔がいいからって。
本当に身勝手で。
勝手に結婚でもなんでもしやがれってんだ!
けっと心の中で悪態をつく。
「ミュゼ様、大丈夫ですか?」
恐る恐る…といった感じで。
いきなりシナモンが目の前に立ったから「ぎゃあ!」と叫んでしまった。
背が高い上に、鍛え上げられているその体格は惚れ惚れするほどにスタイルが良くて。
国家騎士団の制服が似合っている。
白雪姫なんて、制服に袖を通せば、「制服に喰われてるね」と笑っていたというのに…。
今まで、1mmも意識していなかったのに。
疑似恋愛…という言葉のせいで、妙に意識をしてしまう。
「夕食まで、鈴様とデートをしてもらいたいと思います」
悪気のない…屈託のない笑顔でシナモンが言った。
私は口をあんぐりさせていると。
いつのまにかシナモンは、ホムラさんと2人並んで頭を下げる。
「夕方までには宿に戻ってきてください」
にこりとも笑わずにホムラさんは言うと。
シナモンとホムラさんは人混みへと消えていった。
私は思わず、鈴様を見る。
鈴様は、姿勢よく立っていたが私をジロリと睨んだ。
「デートというのは、何をすればいいのだ?」
「…そこから、説明しないといけないんですか!?」
一体、どこから説明すればいいのか。
「デートというのは、カップルが遊ぶことです」
「遊ぶとは?」
「うーん。色々ありますが、今日は街を歩いてお茶でもしますかね」
さっきから通り過ぎる人達がチラチラと鈴様を見ている。
良い男だもんな、こいつ…。
「デートというのは、夫婦もするものなのか」
「…うーん、するんじゃないですか?」
だんだん、説明するのも面倒臭くなってきたので。
とりあえず、歩き出す。
この町は観光客向けの市場や店が連なっていて。
人が途切れることなく歩いている。
場所によっては、私たち騎士団は目立つことがあるけど。
これだけ人が多いと目立つことはなさそうだ。
近くの通りを歩こうとすると。
目の前にアクセサリー類が飾ってある店を見つけて。
「うわあ、いいなあ」と言ってしまった。
髪飾りやネックレス、指輪。
キラキラしたものが店頭に並んでいる。
「綺麗ですね」
と振り返ると。
さっきまでいたはずの、鈴様の姿はなかった。
完全に独り言状態になってしまったので、恥ずかしい…と思ったけど。
「どこ、行った?」
人が多いので、すぐに見つけることができなかった。
「鈴様ー。どこですか?」
大声で鈴様を探すが、人混みで自分の声は消されてしまう。
何度も同じところを行ったりきたりして探して。
細い通りも探したけれど。
見つけることが出来なかった。
「あー、あのボンボンどこ行きやがった」
広場にあるベンチに座り込むと。
どっと疲れが押し寄せる。
目を離した私が悪いのかもしれないけど。
勝手にどこかいなくなるってことある?
はぁ…とため息をついた。
まあ、中身は赤ちゃんだけれど。
21歳の大人なのだから、ホテルには自力で帰れるだろう。
広場には、小さな子供たちがキャッキャいいながら遊んでいて。
子供たちの後ろではお母さんやお父さんたちが温かく見守っている。
噴水を眺め、周りを見渡しているうちに。
強烈に馬鹿らしくなってきた。
うーんと背伸びする。
いくら顔がいいからって。
本当に身勝手で。
勝手に結婚でもなんでもしやがれってんだ!
けっと心の中で悪態をつく。
「ミュゼ様、大丈夫ですか?」
恐る恐る…といった感じで。
いきなりシナモンが目の前に立ったから「ぎゃあ!」と叫んでしまった。



