次に泊まる町は、上流階級の人達が暮らす町だった。
 ドラモンド侯爵が指定した町だ。
 鈴様とホムラさんには先に行ってもらって。
 私たちはゆっくりと歩いて、町に辿り着いた。
「病院に行こう」
 ジェイが当然のように言い出したので、シナモンが立ち止まった。
「あの、病院での付き添いは白雪様にお願いしてもよろしいでしょうか?」
 もじもじと言い出したシナモンに。
 私とジェイが「なんで?」と大声を出した。

「こいつ何の役に立たないよ?」
「シナモンさんが診察している間、看護師さんナンパする奴だぞ?」
「ちょいと2人とも、おいらの悪口言い過ぎ!」
 ギャーギャー言い合ったけど。
 それでも、シナモンは「白雪様でお願いします」と頭を下げたので。
 私とジェイは顔を見合わせて。
「じゃあ…」と言って2人を病院まで見送った。

 町の騎士団の人達にホテルや飲食店などを尋ねたら、快く教えてくれた。
 鈴様とホムラさんはドラモンド侯爵の知人とやらの家へ行って挨拶してから合流する予定だから、そのうち会えるだろうと思っていた。
 ホテルの空室の確認をして部屋を取って。
 商店街をぷらぷらと眺めて、1時間ほど経ってから再び病院に戻った。
 小さな個人病院の前で、シナモンが一人ニコニコと立っていたのでビックリとして駆け寄った。
「え、大丈夫なのシナモン?」
 思わずシナモンの手を握る。
「ええ、休んでいれば大丈夫です。ですが…」
「白雪のやつ、シナモンさん置いて花街でも行ったのかあ?」
 みるみる怖い顔をするジェイに、私もアイツ! と拳を握りしめる。
「違うんです…白雪様は」