部屋に戻って、就寝時。
隣で横になっているシナモンに。
「ねえ、ジェイって本当にカッコイイの?」
と、マジなトーンで質問してしまった。
半分、酔っぱらっていたのかもしれない。
いきなり質問したので、シナモンが「まあ、どうしたんです?」と言った。
シナモンは寝る時に、きちんとした格好をしている。
白いレースをあしらったネグリジェに、ナイトキャップをかぶっている。
私は白いシャツに短パンというラフな格好だ。
「わたくしの目から見れば、ジェイ様は美男子かと思いますし。世間一般から見ても、美男子ですわ」
「そっかあ。じゃー、白雪姫は?」
「白雪様は……そうですね」
言葉に詰まっているシナモンを見て、ぶふ…と笑ってしまう。
「白雪様は、ご自身でおっしゃっているように女性的と言いますか、中性的な感じがします」
決して相手を傷つけない優しい言い方に、感心してしまう。
「え、じゃあ。ホムラさんは?」
「ホムラ様ですか? ホムラ様は・・・」
また、言葉を詰まらせているシナモンに私はアハハと声を出して笑ってしまう。
「なるほど。わかった。参考になったわ」
ゲラゲラ笑いながら言うと。
私は蹴り飛ばした毛布を肩にまでかけ直した。
「ミュゼ様はジェイ様のことを美男子だとは思わないのですか?」
「ジェイが美男子だと思ったことは一度もないかな。小さい頃からの付き合いだとわかんないんだよね。そっかあ、ジェイはモテるのかあ…」
出会いは10歳になる年だった。
ジェイは当時から背が高くて、痩せてた。
思いやりがあって、仲間意識が強くて。
白雪姫と仲良しだから、どっか女々しくて。
私が白雪姫をいじめるたびに、私を叱ってた。
「ジェイが一番に結婚するのかなあ…」
ポロリと出た言葉に、
少しだけさみしさを覚えた。
もう、出会いから10年の月日が経とうとしている。
酷く懐かしく、酷く…辛いと思うのは。
お酒の飲みすぎかなあ。
「騎士団というのは30歳を過ぎるまで結婚できないという掟を聞いたことがあるのですが」
シナモンが急に変なことを言い出してきたので。
思わず、「何それ」と笑ってしまう。
「シナモン、誰から聴いたの? そんなの昔のルールだよ。というか、迷信に近いって」
「そうなのですか? わたくしも噂程度に聴いたことしかありませんので」
「昔は、30歳まで生きられるかわからないから…という意味で結婚させなかったみたいだよ。30歳すぎても生き残れたら結婚出来るって。ああ、そういえばツバキ団長言ってたな。30過ぎたからやっと結婚できたんだぞーって。あの人、どう見ても独身ぽいのにね」
騎士は、いつ死ぬかわからない運命にあって。
30歳までは国に命を捧げる。
30歳過ぎれば、引退の年だと言われ。
騎士団を引退して結婚していたそうだ。
今となったら考えられない、昔話だ。
「昔は30歳までは国に自分の人生を捧げるって意味で独身だったらしいけど。貴族出身の騎士は10代で結婚してたらしいよー。跡継ぎが何よりも大事だったからねえ」
「そうなのですねえ。では、ミュゼ様も結婚出来るのですね」
…鋭い一言だと思った。
結婚…という言葉に。
うえっ…という吐き気を覚えた。
耳をふさいでしまいたくなる。
「おやすみ、シナモン」
慌てて私は目を閉じて寝るふりをした。
明日、シナモンに何か言われたら。
酔っぱらってたと言いきるしかない。
隣で横になっているシナモンに。
「ねえ、ジェイって本当にカッコイイの?」
と、マジなトーンで質問してしまった。
半分、酔っぱらっていたのかもしれない。
いきなり質問したので、シナモンが「まあ、どうしたんです?」と言った。
シナモンは寝る時に、きちんとした格好をしている。
白いレースをあしらったネグリジェに、ナイトキャップをかぶっている。
私は白いシャツに短パンというラフな格好だ。
「わたくしの目から見れば、ジェイ様は美男子かと思いますし。世間一般から見ても、美男子ですわ」
「そっかあ。じゃー、白雪姫は?」
「白雪様は……そうですね」
言葉に詰まっているシナモンを見て、ぶふ…と笑ってしまう。
「白雪様は、ご自身でおっしゃっているように女性的と言いますか、中性的な感じがします」
決して相手を傷つけない優しい言い方に、感心してしまう。
「え、じゃあ。ホムラさんは?」
「ホムラ様ですか? ホムラ様は・・・」
また、言葉を詰まらせているシナモンに私はアハハと声を出して笑ってしまう。
「なるほど。わかった。参考になったわ」
ゲラゲラ笑いながら言うと。
私は蹴り飛ばした毛布を肩にまでかけ直した。
「ミュゼ様はジェイ様のことを美男子だとは思わないのですか?」
「ジェイが美男子だと思ったことは一度もないかな。小さい頃からの付き合いだとわかんないんだよね。そっかあ、ジェイはモテるのかあ…」
出会いは10歳になる年だった。
ジェイは当時から背が高くて、痩せてた。
思いやりがあって、仲間意識が強くて。
白雪姫と仲良しだから、どっか女々しくて。
私が白雪姫をいじめるたびに、私を叱ってた。
「ジェイが一番に結婚するのかなあ…」
ポロリと出た言葉に、
少しだけさみしさを覚えた。
もう、出会いから10年の月日が経とうとしている。
酷く懐かしく、酷く…辛いと思うのは。
お酒の飲みすぎかなあ。
「騎士団というのは30歳を過ぎるまで結婚できないという掟を聞いたことがあるのですが」
シナモンが急に変なことを言い出してきたので。
思わず、「何それ」と笑ってしまう。
「シナモン、誰から聴いたの? そんなの昔のルールだよ。というか、迷信に近いって」
「そうなのですか? わたくしも噂程度に聴いたことしかありませんので」
「昔は、30歳まで生きられるかわからないから…という意味で結婚させなかったみたいだよ。30歳すぎても生き残れたら結婚出来るって。ああ、そういえばツバキ団長言ってたな。30過ぎたからやっと結婚できたんだぞーって。あの人、どう見ても独身ぽいのにね」
騎士は、いつ死ぬかわからない運命にあって。
30歳までは国に命を捧げる。
30歳過ぎれば、引退の年だと言われ。
騎士団を引退して結婚していたそうだ。
今となったら考えられない、昔話だ。
「昔は30歳までは国に自分の人生を捧げるって意味で独身だったらしいけど。貴族出身の騎士は10代で結婚してたらしいよー。跡継ぎが何よりも大事だったからねえ」
「そうなのですねえ。では、ミュゼ様も結婚出来るのですね」
…鋭い一言だと思った。
結婚…という言葉に。
うえっ…という吐き気を覚えた。
耳をふさいでしまいたくなる。
「おやすみ、シナモン」
慌てて私は目を閉じて寝るふりをした。
明日、シナモンに何か言われたら。
酔っぱらってたと言いきるしかない。