気絶していたジェイを叩き起こして、丸太に貼り付けられたままの白雪姫を背負ってもらって。どうにか倉庫から逃げた。
 外は豪雨だった。
「何が起きたの?」
 倉庫の屋根が吹き飛んでいる。
 あの観客の姿も、村の人間たちの姿もなかった。
 ぬかるんだ地面に無数の足跡が残っている。
 ゼーゼーと呼吸を整えながら、丸太に括り付けられている白雪姫に「起きんかい!」と喝を入れた。