天使くん、その羽は使えません (短)

「早かったな、弟よ」

「へ……兄さん?」


奥の部屋から、兄さんがひょっこり顔を出した。これには俺も晴衣も、開いた口が塞がらない。なんで、ここに?


「神様の計らいで、お前たちは、生まれた時から家が隣同士の幼なじみとなった。

そして今日から、俺もここに住む。たまにだが、神様も父役として来られるぞ。仕事から逃げる良い口実が出来たと、喜んでいた」

「か、神様が……」


ズルっと肩の力が抜けた俺。そんな俺に、晴衣が「良かったね」とウィンクをした。


「よ、良かったのかな?」

「絶対良かったよ!だって天翔くん、寂しくないでしょ?」

「!」


寂しくない――確かに、そうだ。神様に直接お礼が言えるし、兄さんとも一緒に居られる。隣の家には、晴衣がいるしね。


「うん……そうだね。寂しくないね」


ふっと口の端を上げて笑うと、晴衣もつられて笑った。もう二度と見られないと思った笑顔は――確かに、俺の隣にあった。