天使くん、その羽は使えません (短)

「ねぇ、晴衣」


空へ飛び立った兄さんを見ながら、俺は呟く。


「俺、今すごく幸せだよ。笑っちゃうくらい、幸せなんだ」


すると晴衣の瞼が、一瞬ふるりと揺れた。見ると、血だらけだった晴衣は、いつの間にか綺麗になっていた。怪我も治っている。

良かった。本当に、寿命が伸びたんだ。


「天翔、くん……?」

「晴衣……。うん、おはよう」

「!」


その時、晴衣が両目を開いた。そして震える手で、俺の頬をなぞる。


「どうしたの?晴衣」

「天翔くんの笑顔を、ずっと見たかったの。今、やっと見れたなぁって思って」

「俺の笑顔?」


晴衣はコクンと頷く。そして、


「いい物が見れたッ」


と、満面の笑みで言った。