「さすがに”天使くん”って呼べないから、私が名前を付けたの。無事に天界まで翔んで帰れるよう、天翔って。どう?素敵じゃない!?」

「……俺が天界に帰る時って、君の魂を、」

「分かってる、わかってるってー!」


ポンと、天使くんの背中を叩く。彼の言いたい事が分かるからこそ、私は笑顔を浮かべて、明るい声を出した。


「ほら、家に入ろう?天翔くん」

「……」

「ラケットバッグはよろしく頼んだー!」


ビシッとラケットバッグを指さす私。天翔くんは、そんな私を見て、

「本当、人間ってバカじゃないの」って。

少しだけ眉頭に力を入れ――もう一度、そう呟いたのだった。