「……だから、何故それが結婚になる?お前は恋愛などには興味はなかったはずだ」

 「興味が出たから結婚します」

 「我が国の情報とその防衛などもお前に頼っている。これからもやってもらえるんだろうな?色恋にうつつを抜かす魔道師など聞いたことがない」

 王がセシルの顔色をうかがうように言う。ところが、横にいた王太子が口を挟んだ。

 「リリアーナと結婚?馬鹿げています。あの女は腹黒い。だからこそ、婚約破棄したのに、お前と結婚して何を企んでいることやら……王様、セシルが女性に興味が出たなら、他の女性を紹介したらどうでしょう」

 「……オスカー様。誰のお陰であなたはこのあいだ助かったんです?この国の王太子はこんなに恩知らずだったんですね」

 オスカーは真っ赤になって立ち上がった!

 「無礼な!何という口の利き方だ!父上が特別扱いするからこんなになったんですよ」

 「馬鹿者!」

 王様はオスカーに向かって声を荒げた。

 「お前はどこまで愚かなのだ。この国を守っているのはお前ではなく、セシルだ。勘違いも甚だしい。リリアーナのことはセシルに任せればよい。彼女が何か企んだとしても、魔道の前では全て筒抜けだ。セシルよかろう、結婚を許す。ただ、国の魔道師としての務めをおろそかにしないでくれ」

 「御意。では失礼します」

 セシルは王様に恭しく頭を下げるとフードを被り下がった。王が退出した後、オスカーが怒りに震えていた。

 「セシルを何とかしないと私の治世は成り立たない……」

 オスカーは考えを巡らし始めた。

 セシルは戻ってくると、リリアーナを捜した。見当たらない。
 
 「リアム!」

 地下からリアムが上がってきた。