入ってきたのは十五、六歳の男の子。同じフードを被っている。
 部屋に入って、固まった。

 「……こ、この人誰ですか?」

 「あ、私はリリアーナ。はじめまして。ちなみに元王太子さまの婚約者です」

 「え?!どうしてここに?」

 「こいつは今日から俺の弟子になった」

 「「ええ?」」

 「こんな女の人が弟子?」「私、弟子なの?」

 セシルは二人を見ながら言った。

 「リアムは俺の一番弟子だ。まだ十五だが、将来有望だ。ちなみに俺は二十歳だ」

 「えー、若いんだね。それで上級魔導師なの?すごく早くない?」

 「そうだよ、師匠はすごいんだ。だから、王室顧問の筆頭魔導師なんだよ」

 リアムは嬉しそうに自慢する。可愛いわね。

 「で、おばさんはいくつなの?」

 は?おばさんって何なのよ。

 「私はこれでもまだ十九歳です。おばさんとは失礼な。化粧が濃いのはスツール家の侍女がやったのよ。普段はもっとナチュラルなの」

 「ナチュラルって何?」リアムが不思議そうに聞いた。

 「あ、えーっと、あんまり化粧しないってこと。薄い化粧しかしないの。濃い化粧だと老けて見えるからね」

 「そうなの?俺姉ちゃんがいるけど、まだ十七で、あんたよりずっと若く見えるよ」

 なんてむかつくガキなんでしょうか。むむ。