『ねえ、知ってる?鏡の中のリョキの都市伝説。』

『知ってる知ってる!深夜2時に第3校舎裏に行くと、普段置かれていない鏡が現れて、呪文を唱えるとその鏡の中に引き摺り込まれるってやつでしょ?』

『そうそう、そうなんだけどね。実は最近新しいウワサが増えたんだよ。……知りたい?』

『え?!なになに、知りたい!』

『実は、その中にいたリョキは1人の女の子を生贄に捧げて、体を乗っ取り、とっくにこの世界に出てきているって話。』

『え、なにそれ!もしこの世界に出てきちゃってたら大変じゃない?!こわーい!!』

『ね、怖いよね……しかもね、そのリョキが乗り移っている女の子に出逢ったら最期、魂を吸い取られて死んでしまうってウワサだよ。』

『怖すぎ……!でも、都市伝説ってあくまでも伝説だからなぁ。』

『確かに!都市伝説だからありえない話だよね!!』

『……というか、詳しいね?なんでそんな都市伝説に詳しいの?築紫。』

『え?それは……私の話だからね。』


女生徒は膝から崩れ落ち、倒れる。
もう、息はしていない。
オレンジ色に染まった夕暮れ時。
静まり返った教室で、私は、口角を上げた。


【完】