咲玖は他の子と半テンポくらい遅れてる。
大きく手を伸ばして、ひらひらとさせて。
左に手拍子、右に手拍子。
くるっと回って最後にポーズ!
咲玖は「できた!」というような表情でパアアッと笑顔になった。
「いやうちの娘天才か??」
巧くんはさっきから無言でシャッターを連打している。
一眼レフ買ってよかった。
これは永久保存だわ。
「天使が降臨してた…」
「あれは天使だわ…」
ふと、咲玖は私たちに気づいた。
気づいて、嬉しそうにニコーッと笑う。
「咲玖〜〜!!」
巧くんはかわいさのあまり泣いていた。
手をブンブン振って目立ちまくってる。
でも、今の私にそれを咎める余裕はない。
本当にかわいすぎる……。
「巧、気持ちはわかるけど周りに迷惑だから……」
私に代わって青人くんが宥めてくれた。
「蒼永も咲玖ちゃんも上手ね〜」
「蒼永は終始無表情だったけど…」
「でもちゃんと踊れててすごいわ」
やば、蒼永くんのこと見てなかったわ。
後で写真見せてもらうか。



