「俺も猪瀬家のために結婚したいと思う気持ちに間違いはない。祖母さんも俺を結婚させたがっている。その結婚相手に君がなればすべて解決だ」
未来はとうとうスツールから飛び降りてソファーに座る和輝の足元で正座して懇願する。
「だめだよ、和くんちゃんと考えて。私と結婚するなんて言ったら美津子さんもおじさんもびっくりするよ。美津子さんショックで心臓止まったらどうするの!?」
元気そうに見えても彼女は心臓に持病を抱えているのだ。余計な心労をかけさせたくない。
「祖母さんも親父も君のことをかわいがってきただろう?」
「確かにものすごく優しくしてもらってきたし、感謝しきれないけど、冗談でも嫁に来いなんて言われたことないよ」
なにせ未来の恋バナを無邪気に聞いてくるような人たちだ。彼らにとって自分は親戚の子のようなもので、決して跡取りの嫁として迎えられる存在ではない。
(猪瀬家とINOSEを背負って立つ後継者だもん。おじさんも美津子さんも長男の嫁としてしかるべき家のご令嬢を望んでいるはず)
5年前に一度だけあった縁談相手が大企業の社長令嬢だったことがその証拠だ。
未来はいつか女性として立派に自立して、彼の隣に立っても許される人間になろうと思って自分なりに努力してきた。
未来はとうとうスツールから飛び降りてソファーに座る和輝の足元で正座して懇願する。
「だめだよ、和くんちゃんと考えて。私と結婚するなんて言ったら美津子さんもおじさんもびっくりするよ。美津子さんショックで心臓止まったらどうするの!?」
元気そうに見えても彼女は心臓に持病を抱えているのだ。余計な心労をかけさせたくない。
「祖母さんも親父も君のことをかわいがってきただろう?」
「確かにものすごく優しくしてもらってきたし、感謝しきれないけど、冗談でも嫁に来いなんて言われたことないよ」
なにせ未来の恋バナを無邪気に聞いてくるような人たちだ。彼らにとって自分は親戚の子のようなもので、決して跡取りの嫁として迎えられる存在ではない。
(猪瀬家とINOSEを背負って立つ後継者だもん。おじさんも美津子さんも長男の嫁としてしかるべき家のご令嬢を望んでいるはず)
5年前に一度だけあった縁談相手が大企業の社長令嬢だったことがその証拠だ。
未来はいつか女性として立派に自立して、彼の隣に立っても許される人間になろうと思って自分なりに努力してきた。



